3/22(金)0:00まるで手描きしたような鮮やかな柄。大きな機械で布を染めていきます。繊細なグラデーションも表現できます。これらは“京都マーブルプリント”という染色技法です。秘密はロール。この部分が版画のような役割を果たし、生地を染め上げていきます。1本のロールは細かいパーツで構成されています。パーツをたくさん作り、組み合わせてデザインを構成。これをロールに貼り付け、布に転写する仕組みです。このロールづくりが大変な作業です。まずは色づくり。染料を加えた粘土状のノリを、機械で混ぜ合わせます。何色も作って、ここからデザイン作り。スカーフのラインを描くには、先ほど作ったさまざまな色のパーツを平らに伸ばし重ねて裁断。これを並べてデザインに組み上げます。さらに、グラデーションにしたラインを細かく切って、組み合わせると「格子柄」に。花柄も作ることができます。設計図はなく、作り方は見よう見まねで覚えます。3代目職人・野瀬仁彦さん「(父の)頭の中にしか、作り方がないので、父ができなくなったら、どうしようもない」デザインづくりは熟練された職人技。すべて手作業で、デザインによっては1か月以上もかかります。2代目職人・野瀬守可さん「手間と経費がかかりすぎる」手間がかかるため職人は減り続け、今では発祥の地ヨーロッパでさえも、希少な技法になっています。それでも、この町工場では親子三代にわたってその技法を守り続けています。伝統技法を守る野瀬一家のことを知り、世界的な有名ブランド「エルメス」が発注。2018年春には、スカーフを手がけたのです。2代目職人・野瀬守可さん「うちしかやってないというのもあるから、なくなるのもおしいかな」