新型コロナウイルスの猛威が収まらないまま、本格的な蒸し暑い夏を迎えた日本。ウイルス対策として着用するマスクも、暑苦しい感じがするようになった。こうした中、日本の各メーカーが注目しているのが、接触冷感などの機能をプラスした「夏用マスク」だ。 東京にあるデパートでは、色とりどりのマスクがずらりと棚に並んでいる。これらのマスクは一般的な使い捨ての不織布マスクとは違い、すべて水着と同じ生地で作られている。 ポリエステルとポリウレタンで作られたマスクは通気性が抜群だ。生地は弾力性に優れて、長時間着用してもムレを抑えられる上に、95%以上の紫外線をカットできるという優れもの。 もともとは水着メーカーの従業員へのマスク供給を確保するために、今年3月に生産を始めたマスクだった。暑い時期を迎えるにつれ、水着生地のマスクが人気になるのでは、このメーカーはさらに生産規模を拡大し続けてきた。 また、マスクの外観にも工夫を重ね、レースのついたものや痩せ顔効果など、夏を快適に過ごすための機能が満載されたマスクを続々と発売している。 <消費者> 「一番夏にマスクをするのに、重要視しているのは涼しさです。付け心地がよくて洗ってもすぐ乾くところがすごくいいです」 日本の主要な繊維産地の一つである石川県では、クロスオーバーの波に乗りマスクの生産に携わる企業もでてきた。繊維メーカーの小松マテーレ社は、接触冷感とウイルス対策を兼ね備えた夏用マスクの開発に取り組んだ。99%の細菌をブロックするだけでなく、マスク内の熱をうまく外に発散できる高機能マスクだという。 <小松マテーレ 中山営業部長> 「市販の一般的なマスクとの差別をはかっております」 新型コロナ感染症の影響で、同社の主要業務である衣料品の生産販売量は大幅に減少したが、マスクは売れ行きの良い商品となった。1枚あたりの価格は1500円前後で、毎月約20万枚が販売され、ある程度の損失を補うことができているという。 暑さに耐えられる冷感タイプの夏用高機能マスクは、需要が高まっていることもあり、品薄状態だ。ただ、夏用マスクの中にはウイルスのシャットアウト効果が弱いものもあるとして懸念を示す専門家もいる。