中国の作家、劉慈欣氏によるSF小説「三体」は日本でもベストセラーとなり「中国SFブーム」を巻き起こしている。 アジア人として初めて、世界的なSF文学賞「ヒューゴー賞」受賞作家となった劉慈欣。長編小説の「三体」は「地球往事三部曲」の第一部で、「黒暗森林」「死神永生」という第二部、三部が続く。 「三体」はニュートン力学にある物理学の古典的難問「三体問題」がきっかけとなっている。3つの天体の間では万有引力が相互に働き、その運動予測は今のコンピューター技術をもってしても完璧に解き明かせないという。 「三体」は2008年の単行本出版以来、中国において最も人気のあるSF小説の一つになり、多言語による翻訳版も出版されている。日本語版は7月に発売された。 東京・池袋駅近くの大型書店では、邦訳バージョンの「三体」が最も人目を引く場所に平積みにされていた。発売と同時に火が付き、多くの書店で売れ筋ランキング1位を獲得、三ヶ月間で12回増刷という大ベストセラーへの道を歩んでいる。 日本では、販売部数が10万部を超えると「ベストセラー」と評価される。「三体」は発売から1カ月も経たないうちに10万部を上回った。関係者によると、三体シリーズの第二部と第三部の翻訳も検討されているという。