結婚相談所に勤める会社員、佐伯耕四郎は、仕事も恋愛もどこか「こんなものか」と冷めた感のある28歳。恋人から「他に好きな人ができたの・・・」と突然の別れを告げられてもあっさりと了承し、フラれた悲しさや憤りを誰にぶつけるわけでもなくひとりヤケ酒で気をまぎらわせていた。家にも帰らず会社へと向かう通勤電車の中、耕四郎の視界に涙ぐむ少女の姿が映る。少女と目が合った瞬間あわててみて見ぬフリをしてその場をやりすごそうとした耕四郎だったが、降車の際、少女が落とした定期に気がつきやむを得ず彼女を追いかけた・・・ 駅のホームで定期を手渡そうとしたその時、突然吹いた春の風が心に痛みを抱えた2人を優しく包み込む─── mylist/12968292