友達のカズの曽祖父さんが、昔、京都の本能寺の近くに住んでたんだ。曽祖父さんは昔から歴史オタクでね、織田信長に心底憧れてたそうな。その日も曽祖父さんは本能寺の近くをブラブラしてた時、突然タイムスリップでもしたみたいに、本能寺の変の真っ只中に居合わせたんだって。炎と叫び声が真夜中の静けさを切り裂いていた。ふと、炎の中にある影が曽祖父さんの目に止まった。織田信長…と思わせる威厳のある姿が、火と戦いながら何かを訴えているようだった。恐れながらも曽祖父さんは近づいてみた。そしたらね、その織田信長と思しき人物が何て言ったと思う?「まだ、俺の時代は終わっちゃいねえ…」って。曽祖父さんがぎょっとしてると、その人物は火に包まれて消えたんだって。その瞬間、カズの曽祖父さんも現実に戻った。何て話だろ?で、その話聞いた後、カズが「ちょっと見せたいものがある」って、曽祖父さんの形見の古い日記を出してきたんだ。そこには曽祖父さんが見た夢か幻かわかんないけど、その本能寺の変の様子が走り書きされてた。でもね、その日記の最後のページにはなぜかこう書いてあったの。「私の血を継ぐ者よ、彼が目覚める時が来るかもしれない。その時はまた、この場所で…」カズと俺はその言葉に震え上がったよ。まるで曽祖父さんが何かを警告してるみたいだった。それからというもの、カズの家の近くにある本能寺には誰も夜中には近寄らないんだとか。何せ、あの織田信長が現れてまた何かを起こすかもしれないからね。怖いぜ…。そしてある夜、俺とカズはなぜか本能寺の前にいたんだ。なんてことはない、ただの好奇心だった。ふざけあいながら境内に足を踏み入れた時さ、ふと空気が震えるような感じがしてね。それで振り返ったら、なんと曽祖父さんの日記に書かれていたあの「織田信長」っぽい人影が、またもや炎のように浮かび上がっているんだ。でも今回は違った。その人影はじっと俺たちを見つめてさ、まるで何かを訴えかけるかのように手を伸ばしていた。俺とカズは絶句したよ。次の瞬間、お互いの目を見合わせたときに理解した。この「警告」が、曽祖父さんの血を引く俺たちに対してのものだったんだって。それその時、俺たちの目の前で炎のような人影がはっきりとした声で「歴史を塗り変える者が現れる…」とつぶやいたんだ。そう言うと急に消えちゃった。俺たち、その言葉の意味するところがサッパリ分からなくて、ただ茫然と立ち尽くしたよ。家に帰った後、怖さと興奮で夜も眠れなかった。#幽霊#恐怖#こわい話