Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=lalfazM9EI4 )。ドイツの作曲家アドルフ・フォン・ヘンゼルト(1814 - 1889)はフンメルを師としてピアノ演奏を学び、優れた技巧を持つピアニストでもあったため、ピアノのための作品を多数作曲しています。そんな彼の代表作の1つがピアノ協奏曲 ヘ短調 作品16です。この作品は、1845年にシューマンが補筆した暫定版( sm40023915 )がクララ・シューマンの独奏によって初演されましたが、その後ヘンゼルトは改訂作業を行い、1847年に完成版が出版されました。本作はヘンゼルトの持つピアノ技巧が存分に示された華麗な曲想に満ちており、かつてはヨーロッパの音楽界で多くのピアニストがレパートリーとしてとりあげていました。しかしヘンゼルトはショパンやリストと同年代で、彼らの存在の陰に隠れがちだったこと、ヘンゼルトが極度のあがり症(ピアノ協奏曲の演奏では、ピアノ独奏が始まる直前まで舞台袖に隠れていたという逸話があります)のため30代の若さで演奏活動から手を引いて、その後はロシアを拠点として教育活動に移行したこと、そして作品が高度な技巧を使いながらもリストやショパンの作品のような独創性が欠けていたことなどの理由から、本作を含む彼の作品は一旦忘れ去られることとなります。それでも、本作がロマン派のピアノ協奏曲として優れた作品であることに疑いはなく、もっと演奏機会が増えてほしいと思います。マイケル・ポンティ(ピアノ)オトマール・マーガ指揮フィルハーモニア・フンガリカ