東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う避難者数は2018年1月末現在、福島県内外合わせて5万534人で、最多の2012(平成24)年時に比べて3分の1以下まで減少した。災害公営住宅の整備が進み、仮設住宅の入居者もピーク時から9割ほど減ったが、多くの県民が避難生活を強いられる状況が続く。原発事故を要因とする震災関連死は増え続けている。高齢者を中心とした体調や心のケア、見守り体制の構築などが一段と求められる。 2月末現在の避難者の内訳は、県外が3万4095人で、県内が1万6426人。近年は県内の避難者減少の動きが加速している。特に仮設住宅入居者は3865人で最も多かった2012年7月の3万3016人の1割にまでに減り、前年同期と比べても3割ほどまでに減少した。災害公営住宅の整備が進んだ上、自主避難者への住宅無償提供の打ち切りなどにより、帰還や新たな住居への移転が進んだとみられる。 2015年9月に避難指示が解除された楢葉町の避難者への仮設住宅や借り上げ住宅の無償提供は今年3月末で終了となる。一方、南相馬、川俣、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の9市町村からの避難者については3月末の期限を2019年3月末まで1年間延長する。このうち、南相馬、川俣、川内、葛尾、飯舘の5市町村の避難指示解除地域は一律延長を今回で終える。今後は避難者個別の事情の把握や住居確保の支援などに加え、住民の交流の場づくりなどが一層重要となる。 原発事故に伴う避難者向けの災害公営住宅は1月末現在、15市町村に整備予定の4890戸のうち、4323戸が完了した。建設中の住宅も3月末までに大半の4707戸が完成する見通しで、事業は大きな節目を迎える。 計画整備戸数に占める完成戸数の割合を示す進捗(しんちょく)率は88・4%で、昨年1月末現在に比べ完成戸数は1295戸増え、進捗(しんちょく)率は26・5ポイント伸びた。福島、いわきの両市以外で計画戸数の全てが完成した。3466戸が入居済みとなっている。最も完成戸数が多いのはいわき市の1288戸、次いで南相馬市の927戸、郡山市の570戸となっている。 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2018/03/post_15857.html