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お願いだから歌い分けてよ、樋口 「熱唱」篇
プロデューサーは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の高山を除かなければならぬと決意した。プロデューサーには内情がわからぬ。プロデューサーは、村の牧人である。ガチャを引き、アイドルと遊んで暮して来た。けれども限定に対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明プロデューサーは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此この市に来た。プロデューサーには父も、母も無い。女房も無い。アイドルだけだ。プロデューサーは、それゆえ、課金のためにはるばる市にやって来たのだ。ついでにシャニマスの関連商品を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。プロデューサーには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、放クラPをしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにプロデューサーは、まちの様子を怪しく思った。騒がしい。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、Twitterが、やけに騒がしい。のんきなプロデューサーも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのかと質問した。若い衆は、生放送を見ろと言った。プロデューサーは通信制限がかかっていたので後で見ることにした。しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。プロデューサーは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「高山様は、人を苦しめます。」
「なぜ苦しめるのだ。」
「樋口円香の限定を発表したからです、誰もそんな、石をもう持っては居りませぬ。」
「また限定なのか!?」
「はい、しかもノクチルのなかでもセンター適正だった前回のように今回は適正ポジをもらっています。」
「おどろいた。高山は乱心か。限定の冬優子の時にはそんな重要な性能じゃなかったじゃないか!」
「いいえ、乱心ではございませぬ。調子に乗っているのでしょう。じゃなきゃ謝罪会見
からあの発表はないでしょう。多分高山はノクチルがお気に入りなのです。」
聞いて、プロデューサーは激怒した。「呆れた高山だ。生かして置けぬ。」
プロデューサーは、単純な男であった。とりあえずSSR2倍10連チケットを買っておこうと買い物を、背負ったままで、のそのそ銀行に課金用のお金を下ろしに向かった。
根源 sm39238360
エイプリルフールリスペクトです。